藤井聡太のひふみんアイとは?由来・炎上したマナー論争と加藤一二三の訃報を徹底解説
藤井聡太が対局中に見せた、将棋盤を相手側からのぞき込む独特の動作。「ひふみんアイ」と呼ばれるこの行動は、2017年の公式戦29連勝をめぐる話題とともに広く知られるようになりました。一方で、対局中に席を立って盤面を見ることはマナー違反ではないのか、という議論も起きています。
この呼び名の由来は、2026年1月22日に86歳で亡くなった加藤一二三九段です。1979年の第28期王将戦で生まれたとされる独特の習慣は、なぜ藤井聡太にも受け継がれ、議論を呼んだのでしょうか。誕生の経緯、2017年の竜王戦、2018年のマナー論争、そして加藤九段の訃報を踏まえ、将棋界の記録と報道をもとに整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 意味と由来:「ひふみんアイ」は、加藤一二三九段が相手側に回って盤面を見る独特の習慣に由来する呼び名。
- 藤井聡太との関係:2017年6月26日、増田康宏四段との竜王戦で藤井四段がこの動作を見せ、公式戦29連勝の達成とともに注目を集めた。
- マナー論争と訃報:2018年には対局中の立ち振る舞いをめぐって議論が発生。加藤九段は2026年1月22日に肺炎のため86歳で亡くなった。
【意味を解説】藤井聡太の「ひふみんアイ」とは何か?
ひふみんアイとは、対局者が将棋盤の反対側、つまり相手が座る側へ回り込み、通常とは逆の向きから盤面を確認する行動を指します。「ひふみん」は加藤一二三九段の愛称で、「アイ」は英語の「eye(目)」に由来する表現です。
将棋では、盤面を自分の側から見るのと相手の側から見るのとでは、駒の配置や攻めの方向について受ける視覚的な印象が変わります。相手の視点に立つことで、見落としていた攻め筋や受けの手を発見しようとするのが、この動作の狙いです。
ただし、相手側から見れば必ず正解が見つかるというわけではありません。プロ棋士は盤面を頭の中で反転させて考えることもできるため、盤面の反対側へ移動することは、あくまで局面を捉え直すための一つの方法です。
また、ひふみんアイは特別な将棋の技名や、公式戦で定められた戦術の名称ではありません。棋士の特徴的な行動が、加藤九段の愛称と結び付いて広く知られるようになった通称です。

【由来と真相】第28期王将戦・中原誠との対局で生まれた発想
ひふみんアイの由来をたどると、1979年2月7日に行われた第28期王将戦第5局に行き着きます。当時、加藤一二三九段は中原誠王将に挑戦していました。加藤九段自身が学士会の会報に寄せた棋士人生の講演要旨でも、この対局で相手側から盤面を見た経験を振り返っています。
伝えられている経緯によると、加藤九段は指し手を探して長考していた際、中原誠王将が席を外した隙に相手側へ回り込み、盤面を眺めました。そのとき、それまで見つからなかった「5五歩」という手が浮かび、実際に指して勝利につなげたといいます。
この経験をきっかけに、加藤九段は局面を考える際、相手側から盤面を見ることがありました。後年、この行動が「ひふみんアイ」と呼ばれ、将棋中継や一般の報道でも紹介されるようになったのです。
ここで押さえておきたいのは、1979年の対局時点ですでに「ひふみんアイ」という名称が使われていたと断定できるわけではないことです。本人の回想が示すのは、相手側から盤面を見る発想と、それによって手を見つけた経験です。現在の呼び名は、その特徴的な行動が広く知られる過程で定着しました。
ひふみんアイの本質は、奇抜な動作そのものではありません。長考しても答えが見つからない局面で、見慣れた盤面を別の角度から捉え直す。加藤九段の棋士としての工夫が、後世に残るエピソードになったのです。
【2017年の竜王戦】藤井聡太が29連勝を達成した対局で見せた動き
ひふみんアイが藤井聡太の名前とともに広く話題になったのは、2017年6月26日の第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦です。当時14歳の藤井聡太四段は、19歳の増田康宏四段と対局しました。
この一局は、藤井四段にとって公式戦29連勝がかかった重要な対局でした。約11時間半に及ぶ熱戦の末、藤井四段は91手で勝利。1987年に神谷広志五段が樹立した28連勝を30年ぶりに更新し、歴代最多の公式戦29連勝を達成しました。
その対局中、藤井四段は指し手を考えるために立ち上がり、増田四段の側から盤面を確認する動作を何度か見せました。これが、加藤九段の習慣になぞらえて「ひふみんアイ」として注目されたのです。
翌27日には、加藤九段がテレビ番組で藤井四段の動作について解説したことも報じられました。加藤九段は、藤井四段の動きを「大回り」、自身の動きを「小回り」と表現し、相手が座っている場合と席を外している場合との違いを説明しています。
また、加藤九段は藤井四段が自身の習慣を受け継いだことを喜び、「聡太、『ひふみんアイ』を継承してくれてありがとう」と反応したことがABEMA TIMESなどで報じられました。本人が後継者として歓迎していたことは、ひふみんアイが単なる珍しい仕草ではなく、棋士同士のつながりを感じさせるエピソードになった理由の一つです。
なお、29連勝の記録を生んだのは、盤面を逆側から見た動作だけではありません。勝敗は指し手の積み重ねによって決まります。ひふみんアイは歴史的な一局の印象的な場面ではありますが、それ自体を勝因と断定することはできません。

【炎上の経緯】ひふみんアイはマナー違反なのか?
ひふみんアイをめぐるマナー論争で重要なのは、2017年の竜王戦と、2018年2月に起きた議論を区別することです。藤井聡太の動作が注目されたことと、対局中の立ち振る舞いに対する批判が広がったことは、関連していますが同じ出来事ではありません。
2018年2月1日、藤井五段は名人戦の順位戦C級2組で梶浦宏孝四段と対局しました。この一局の終盤、藤井五段が立ち上がって梶浦四段の斜め後ろから盤面を見る場面がありました。
これに対し、神崎健二八段は、時間が切迫した終盤に立って相手の後ろから盤面を見ることについて、周囲の対局者や相手が気になる可能性を指摘し、マナー上の問題を提起しました。2018年2月2日のJ-CASTニュースは、この指摘とネット上の反応を報じています。
議論は大きく二つに分かれました。一方は、対局室には相手だけでなく、同時に対局するほかの棋士もいるため、集中を妨げない配慮が必要だという考え方です。もう一方は、盤面をどの方向から見るかは思考の自由であり、明確な禁止規定がない行動を一律にマナー違反と決めつけるべきではないという立場でした。
批判の矛先は、藤井五段の行動だけでなく、それを公の場で指摘したことにも向かいました。J-CASTニュースによると、神崎八段の発信には、本人に直接伝えるべきだという意見と、指摘自体を支持する意見の双方が寄せられました。こうした反応が、ひふみんアイのマナー論争を広げる一因になりました。
では、ひふみんアイはルール違反だったのでしょうか。2017年から2018年当時の報道では、盤面を相手側から見る行為そのものについて、将棋のルール上は問題ないとする説明が紹介されています。一方、対局相手が席にいる状況で立ち上がって背後へ回ることについては、礼儀や周囲への配慮という別の観点から意見が分かれました。
つまり、「ひふみんアイはルール違反」と断定するのも、「ルールに反しなければ何をしてもよい」と考えるのも、論点を単純化しすぎています。対局中の行動は、明文化された規則だけでなく、対局環境や相手への配慮を含めて評価される場合があるのです。
【年表で整理】ひふみんアイの歴史と加藤一二三の訃報
ひふみんアイの評判と経緯を整理すると、加藤九段の実戦での工夫、藤井聡太の29連勝による再注目、2018年のマナー論争という流れが見えてきます。そして2026年には、考案者として知られる加藤九段の訃報が伝えられました。
| 時期 | 出来事 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 1979年2月7日 | 第28期王将戦第5局で加藤一二三が中原誠王将と対局 | 相手側から盤面を見る発想の由来として語り継がれる |
| 2017年6月26日 | 藤井聡太四段が増田康宏四段に91手で勝利 | 公式戦29連勝を達成し、ひふみんアイも注目される |
| 2018年2月1~2日 | 藤井五段の対局中の動作をめぐりマナー論争が発生 | 規則と対局マナーの違いが議論になる |
| 2026年1月22日 | 加藤一二三九段が肺炎のため86歳で死去 | 将棋界と幅広いメディアで、その功績や人柄が振り返られる |
2026年1月22日、日本将棋連盟と所属事務所は、加藤一二三九段が同日午前3時15分に肺炎のため86歳で亡くなったと発表しました。TBS NEWS DIGやテレビ朝日なども訃報を伝えています。
加藤九段は1954年、14歳7カ月でプロ棋士となり、当時の史上最年少記録を樹立しました。名人位の獲得をはじめとする棋士としての実績に加え、独特の語り口や個性的な振る舞いでも親しまれました。2017年6月に現役を引退した後も、テレビ出演などを通じて将棋の魅力を幅広い層に伝えました。
藤井聡太との縁も深く、2016年12月にはプロデビュー戦で藤井四段と対局しています。加藤九段は自身が持っていたプロ入り最年少記録を藤井四段に更新された棋士でもあり、世代を超えた二人の関係は、将棋界の歴史を象徴するエピソードとして語られています。
訃報を受けてひふみんアイを振り返る意味は、単に有名な仕草を懐かしむことにとどまりません。一つの局面を別の視点から考えるという工夫が、加藤九段の棋士人生とともに記憶され、後輩棋士や将棋ファンの間で受け継がれてきたことにあります。

【プロの結論】ひふみんアイの評判と、誤解しないための判断基準
ひふみんアイへの評価を考える際には、少なくとも三つの観点を分けて考える必要があります。第一に、将棋の局面を考えるための工夫としての意味。第二に、対局室で求められる礼儀や周囲への配慮。第三に、テレビ中継やSNSを通じて、棋士の一挙手一投足が広く見られるようになったことです。
まず、棋士の思考法として見れば、相手側から盤面を見ることは、局面を違う角度から捉え直す行動です。加藤九段の経験が伝えるのは、長考しても答えが出ないとき、普段とは異なる見方を試すことで新しい手が浮かぶ場合があるということです。ただし、すべての棋士に同じ方法が適しているわけではなく、動作そのものを強さの証明とみなすこともできません。
次に、マナーの問題では、行為の目的と周囲への影響を切り分けることが大切です。盤面を逆から見ること自体と、相手の集中を妨げかねない立ち振る舞いは、同じ問題ではありません。対局者が席を外している場合と、相手が着座したまま集中している場合とでは、周囲が受ける印象が異なる可能性があります。
最後に、ネット上で「炎上」と表現される出来事は、必ずしも規則違反が確定したことを意味しません。2018年の議論では、行為そのものへの批判に加え、批判を公に発信することの是非も争点になりました。ひふみんアイの真相を理解するには、誰が何をしたのか、どの時点で何が問題視されたのか、そしてルールとマナーのどちらが論点だったのかを確認する必要があります。
このエピソードが今も語られるのは、加藤九段の個性的な行動が印象に残ったからだけではありません。将棋という静かな競技の中でも、思考の自由と対局相手への敬意をどう両立させるかという問いがあるからです。ひふみんアイは、その両面を考えるきっかけを与えてくれるエピソードといえます。
【藤井聡太ひふみんアイ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ひふみんアイの意味は何ですか?
A1:加藤一二三九段の愛称「ひふみん」に由来する呼び名で、相手側に回り込んで将棋盤を反対側から見る動作を指します。局面を別の視点から検討し、新しい指し手を探すための工夫です。
Q2:藤井聡太がひふみんアイを見せたのはいつですか?
A2:2017年6月26日の第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦、増田康宏四段との対局です。藤井四段は91手で勝利し、公式戦29連勝を達成しました。
Q3:ひふみんアイはマナー違反やルール違反なのですか?
A3:盤面を相手側から見る行為そのものについて、当時の報道ではルール上の問題はないと説明されています。ただし、相手が着座しているときに立ち上がって背後へ回る行動には、周囲への配慮や対局マナーという観点から異なる意見があります。
Q4:ひふみんアイの由来となった対局は何ですか?
A4:1979年2月7日の第28期王将戦第5局です。加藤一二三九段が中原誠王将との対局中、相手側から盤面を見て「5五歩」という手を発見したエピソードが由来として知られています。
Q5:加藤一二三九段は2026年に亡くなったのですか?
A5:はい。日本将棋連盟と所属事務所の発表によると、加藤一二三九段は2026年1月22日午前3時15分、肺炎のため86歳で亡くなりました。
まとめ:ひふみんアイが将棋界に残したもの
藤井聡太のひふみんアイは、加藤一二三九段が実戦で見せた独特の習慣に由来します。1979年の第28期王将戦で生まれた発想は、2017年の藤井四段による29連勝達成を機に再び注目され、2018年には対局中のマナーをめぐる議論にも発展しました。
一連の経緯から見えてくるのは、将棋の思考法としての工夫と、対局相手や周囲への配慮は、分けて考える必要があるということです。ひふみんアイを単なる珍しい仕草やルール違反として片付けると、加藤九段が残した棋士としての工夫も、当時の議論の本質も見えにくくなります。
2026年1月に加藤一二三九段が亡くなった今、ひふみんアイは将棋界を彩った数々のエピソードの一つとして記憶されています。相手の視点に立って盤面を捉え直すという発想、そして勝負の場で相手を尊重する姿勢。その二つを考えさせることこそ、このエピソードが長く語り継がれる理由です。 (出典: 藤井 聡太 ひふみ ん アイ(Yahoo!ニュース))