飛ばないボールは本当にある?2026年NPB公式見解と本塁打数の推移を徹底解説
プロ野球でたびたび議論になる「飛ばないボール」。打者が手応えを感じた打球がフェンス手前で失速する、本塁打がなかなか出ない――。こうした現象を背景に、NPB(日本野球機構)の統一球に対する疑問が広がってきました。2024年には新庄剛志監督がボールの飛び方に疑問を呈し、2026年1月にも、より打球が飛ぶボールへの変更を提言しています。
一方、NPBは2026年4月、公式球の品質に問題はなく、意図的な仕様変更もしていないとの見解を説明しました。さらに、NPB公式記録を集計すると、レギュラーシーズンの本塁打数は2024年の975本から、2025年は1,096本、2026年は1,426本へと増加しています。では、飛ばないボールは本当に存在するのでしょうか。反発係数0.4134の意味、公式球の品質検査、ボール変更説の真相、投高打低の背景を、公式記録と報道をもとに整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 2026年のNPB公式見解:4月6日、NPB事務局長は公式球の品質に問題はなく、意図的な仕様変更もないと説明した。
- 本塁打数の変化:2024年は975本、2025年は1,096本、2026年は1,426本。2026年は前年から大幅に増加した。
- 反発係数の目標値:NPB統一球は0.4134を目標とし、規定の範囲内で管理されている。
- 新庄監督の主張:ボールの飛び方や三遊間への打球の減少を指摘し、より打者が活躍できる環境を提案した。
- 真相を判断するポイント:本塁打数の増減だけではボールの仕様変更を証明できない。検査結果、打撃成績、投手の能力などを分けて考える必要がある。
【2026年最新】「飛ばないボール」は本当に存在するのか
最初に整理しておきたいのは、「打球が飛びにくいと感じること」と「NPBが飛びにくいボールへ意図的に変更したこと」は、別の問題だという点です。
2026年4月6日、NPBの中村勝彦事務局長は、開幕直後に本塁打数が増えていた状況や、ボールの反発係数が変わったのではないかという指摘を受け、公式球の品質に問題はないとの見解を説明しました。報道によると、同事務局長は、ボールについて厳格な検査を行っており、規定の基準値内に収まっていること、意図的な仕様変更はしていないことを明らかにしています。
また、前年秋に入荷されたボールが順次使用されていることや、反発係数0.4134という目標値を維持する方針も説明されました。したがって、少なくとも2026年4月に公表されたNPB側の説明では、飛ぶボールへの変更や飛ばないボールへの変更を意図的に行ったという事実は認められていません。
ただし、NPBの説明は、打者が感じている飛距離の違いを否定するものではありません。打球の飛距離は、ボールの反発特性だけで決まるわけではないからです。打球速度、打ち出し角度、打点、投球の回転、球場の環境などが重なれば、同じようなスイングでも結果は変わります。
つまり、「飛ばないボール」という表現には、選手が感じる打球の変化、シーズンの打撃成績、公式球の品質に対する疑念という、複数の意味が含まれています。これらを区別することが、2026年のボール問題を理解する出発点です。

【データで検証】2023〜2026年のプロ野球本塁打数はどう変化した?
ボールが飛びにくくなったという疑問を検証する際、まず確認したいのがシーズン全体の本塁打数です。NPB公式サイトのセ・パ両リーグのチーム打撃成績を合計すると、次のようになります。2026年はレギュラーシーズンの全日程終了時点の数字です。
| シーズン | セ・リーグ | パ・リーグ | 両リーグ合計 | 前年との比較 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 643本 | 607本 | 1,250本 | 基準年 |
| 2024年 | 472本 | 503本 | 975本 | 275本減 |
| 2025年 | 543本 | 553本 | 1,096本 | 121本増 |
| 2026年 | 648本 | 778本 | 1,426本 | 330本増 |
出典:日本野球機構(NPB)公式サイトの2023〜2026年度チーム打撃成績。各球団のレギュラーシーズン本塁打数を集計。
この数字から読み取れるのは、2024年に大きく落ち込んだ本塁打数が、その後2年続けて増加していることです。2024年は2023年の1,250本から975本へと約22%減少しました。2025年には1,096本まで回復し、2026年は前年から330本増の1,426本に達しています。
2026年の本塁打数は、2024年と比べると451本多く、約46%の増加です。2024年の数字だけを切り取れば、ボールが飛びにくくなったという疑念が生まれるのも不思議ではありません。しかし、2025年と2026年の推移まで含めると、単純に「NPBのボールはずっと飛ばない」と説明することは難しくなります。
ただし、ここで注意が必要です。年間の本塁打数が増えたからといって、ボールの反発性能が上がったとは限りません。各球団の打線、主力選手の出場状況、打撃フォームの改良、投手陣の状態なども成績を左右するためです。反対に、本塁打数が減った場合も、それだけでボールの反発係数が低下したとは断定できません。
このデータが示しているのは、本塁打数の増減が事実であることと、その原因がボールの仕様変更だと証明されたかどうかは別だということです。
【反発係数0.4134の真相】NPB統一球の仕組みと品質検査
飛ばないボールの議論で頻繁に登場する数字が、反発係数0.4134です。これはNPB統一球の反発係数の目標値であり、ボールがどの程度反発するかを評価するための指標です。
NPBは2015年2月、統一試合球に関する規則を改正し、それまで平均反発係数の基準として示していた0.4034〜0.4234という範囲に加え、0.4134を目標値とすることを定めました。納品前の規格検査に関する手順も規則に盛り込まれています。
ここで重要なのは、0.4134は飛距離そのものを表す数字ではなく、すべてのボールが必ず同一の反発係数になるという意味でもないことです。規定の範囲内にあるボールでも、実際の打球が同じ距離まで飛ぶとは限りません。
反発係数は、一定の条件下でボールを衝突させ、衝突前後の速度などから反発の度合いを評価するために使われます。打者がバットで打った際の飛距離は、衝突の条件が異なるうえ、打球の方向や角度、空気抵抗などにも左右されます。そのため、反発係数だけで試合中の打球の飛び方を完全に説明することはできません。
NPBの統一球はミズノが製造し、NPBが定める仕様や検査基準に沿って管理されています。2026年4月の説明では、検査において湿度などの条件も管理され、基準外となったボールは試合球ではなく練習球に回すなどの対応が取られていると報じられました。
品質検査で確認できるのは、対象となるボールが規定に適合しているかどうかです。一方、反発係数が規定内に収まっていることだけで、シーズン中に打者が感じる飛距離の変化をすべて説明できるわけではありません。実際の使用球について疑問を解消するには、検査結果の推移や測定条件、実際の試合データを合わせて確認する必要があります。
なお、NPBは2013年にも統一球の仕様調整をめぐって問題に直面しました。当時は、ボールの仕様が変更されていたことが事前に十分説明されていなかった点が問題化し、NPBが仕様調整について公表しています。この経緯は、現在もボールの変更説が話題になる背景の一つです。ただし、過去に問題が起きたことと、2024年や2026年に同様の変更が行われたことは、別々に検証しなければなりません。

【新庄剛志監督の発言】飛ばないボールへの指摘と変更説
飛ばないボール問題を広く知らしめた人物の一人が、北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督です。2024年5月6日の試合後、新庄監督は今季のボールについて「なんかボール飛ばなくないですか?」と報道陣に問いかけました。
報道によると、新庄監督は、しっかり捉えたと感じる打球がフェンス手前で失速することがあると説明しました。一方で、同じ試合で本塁打を放ったソフトバンクの山川穂高選手にも触れ、タイミングが合えば飛ぶという趣旨の話もしています。ボールを開けて中身を見てみたいと冗談交じりに語ったことも話題になりました。
この発言は、現場の指揮官が感じていた違和感を伝えるものです。ただし、監督が打球の飛び方に疑問を持っていること自体は、ボールの仕様変更を裏付ける検査結果ではありません。
そして2026年1月20日、12球団監督会議後の取材でも、新庄監督は改めてボールの飛び方に言及しました。現役時代に使っていたボールはよく飛んでいたと振り返り、もう少し飛ぶボールにできないかという考えを示しています。特に、三遊間への打球による安打が減っていると指摘し、ホームランや打率3割を記録する打者が増えれば、ファンにとっても野球がより楽しめるのではないかと提案しました。
新庄監督の主張の中心にあるのは、ボールが不正に変更されたという断定ではなく、打者が結果を残しやすい環境と試合の面白さをどう両立させるかという問題提起です。2026年の発言も、反発係数の規定内で、より打球が飛ぶ方向への見直しを求める意見として受け止める必要があります。
一方、NPB側は同年4月に、公式球の基準値は変わっておらず、意図的な仕様変更もないとの見解を説明しています。したがって、2026年の「飛ばないボール」論争では、現場の体感と公式球の検査・仕様に関する説明を混同しないことが大切です。
【投高打低の原因】ボール以外にも考えられる5つの要因
プロ野球で投手が優位になり、打者の成績が伸び悩む「投高打低」。この傾向をすべてボールの反発性能に結び付けると、野球そのものの変化を見落とす可能性があります。
打球の飛距離や本塁打数に影響する主な要因は、次の5つです。
1. 打球速度と打ち出し角度
本塁打が生まれるかどうかは、バットに当たった後の打球速度と角度に大きく左右されます。強く打っても角度が低ければ外野手の正面に飛ぶことがあり、角度が高すぎれば飛距離が伸びない場合もあります。打者が手応えを感じたことと、最適な打球になったことは同じではありません。
2. 投手の球速・回転・変化球
打者が打ちにくい投球が増えれば、芯で捉える打球も減りやすくなります。球速だけでなく、変化球の軌道や回転、投球の組み立てなどが組み合わさることで、打者は狙いどおりにスイングすることが難しくなります。結果として、本塁打だけでなく安打数にも影響が及びます。
3. 打撃フォームやアプローチの変化
打者が長打を狙ってスイングを変えれば、打球速度や角度が変化します。一方で、ミートを優先すれば安打の可能性が高まる場面もあります。新庄監督が打者のフォームへの影響を指摘したことは、ボールの飛び方が選手の打撃戦略にも関わるという問題を示しています。ただし、フォームの変化がボールだけに起因するとは限りません。
4. 球場・気象条件・使用環境
気温、風向き、空気の状態、球場の形状やフェンスまでの距離なども、打球の飛距離に影響します。シーズン全体の本塁打数を比較するときは、個々の試合で異なる条件が積み重なっていることを考慮する必要があります。
5. 守備位置と試合運び
守備側が打者の傾向に合わせて守備位置を調整すれば、打球が安打になる確率は変わります。また、投手が長打を避けるために配球を工夫したり、打者が四球を選ぶことを重視したりすれば、試合の展開も変化します。三遊間への打球が減ったという現場の指摘も、打球の質や守備の対応を含めて検証する必要があります。
このように、投高打低は単一の原因で説明できる現象ではありません。ボールの反発性能が議論の対象になるのは自然ですが、投手の能力、打者の技術、守備、球場条件などを同時に確認しなければ、原因を正しく絞り込むことはできません。

【プロの結論】飛ばないボールの真相を見極める判断基準
2026年の状況を整理すると、NPBが意図的に飛ばないボールへ変更したと断定できる根拠は、今回確認した公式記録や公表された説明からは見当たりません。一方、2024年に本塁打数が大きく減少したことや、現場の監督が打球の飛び方に違和感を示してきたことも事実です。
この2つは矛盾しません。選手が飛距離の変化を感じていても、それがボールの仕様変更によるものとは限らないからです。逆に、検査基準に適合していることだけで、打球の飛び方に関するあらゆる疑問が解消されるわけでもありません。
ボール変更説を判断する際は、次の3つの基準を押さえておくと、情報を整理しやすくなります。
判断基準1:公式の仕様と検査結果を確認する
まず確認すべきなのは、NPBが定める反発係数の目標値、規定の範囲、検査方法、実際の検査結果です。単に「反発係数は規定内だった」という説明だけでなく、比較する年度の測定条件や結果が公開されているかどうかが重要です。
判断基準2:本塁打数は複数年で比較する
特定の数週間や1か月だけでなく、シーズン全体の成績を確認する必要があります。2024年に975本まで落ち込んだ本塁打数は、2025年に1,096本、2026年には1,426本へと増加しました。短期間の数字だけでは見えない変化が、年間集計では明らかになります。
判断基準3:選手の証言と客観データを分けて読む
監督や選手の証言は、試合現場で感じられた変化を知るための重要な情報です。しかし、体感はボールの仕様変更を直接証明するものではありません。発言の内容、公式の説明、検査結果、打球データをそれぞれ照らし合わせることで、より正確な判断に近づけます。
さらに、ボールが飛びやすくなれば、単純に野球が面白くなるとも限りません。本塁打の増加は試合を盛り上げる一方、投手戦や守備の価値、試合時間、得点のバランスにも影響します。新庄監督の提言は、打者が活躍する機会を増やすことと、野球全体の競技性をどう両立させるかという課題にもつながっています。
「飛ばないボール」の真相を考えるうえで大切なのは、飛距離に関する疑問を頭ごなしに否定することでも、数字の変化をすべてボールのせいにすることでもありません。仕様と検査、実際の成績、現場の声を区別して評価することが、最も合理的な判断基準です。
【飛ばないボール】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のNPB公式球は飛ばないボールなのですか?
A1:選手や監督からボールが飛びにくいという指摘は出ていますが、NPBは2026年4月、公式球の品質に問題はなく、意図的な仕様変更もないと説明しています。2026年のレギュラーシーズン本塁打数も1,426本で、2025年の1,096本から増加しました。これらの事実だけでは、ボールの反発性能が意図的に変更されたとは判断できません。
Q2:反発係数0.4134とは何ですか?
A2:NPB統一球の反発係数の目標値です。2015年の規則改正では、0.4034〜0.4234という基準の範囲に加え、0.4134を目標値とすることが定められました。この数値は飛距離そのものではなく、ボールの反発の度合いを評価するための指標です。
Q3:新庄剛志監督はなぜ飛ぶボールへの変更を求めたのですか?
A3:新庄監督は、現役時代に使っていたボールとの違いを感じていることや、三遊間への打球による安打が減っていることなどを指摘しました。より飛ぶボールによって本塁打や打率3割を記録する打者が増えれば、ファンも楽しめるという考えを示しています。これは競技の魅力や打者の活躍機会についての提言であり、不正なボール変更があったことを証明する発言ではありません。
まとめ:飛ばないボール問題は2026年の数字と検査結果で判断する
「飛ばないボール」は、プロ野球のファンや現場の指導者にとって無視できないテーマです。2024年には本塁打数が975本まで減少し、新庄剛志監督をはじめとする関係者からボールの飛び方に疑問が示されました。しかし、2025年は1,096本、2026年は1,426本へと本塁打数が増加しています。
NPBは2026年4月、反発係数0.4134の目標値を維持し、公式球の品質検査を行っていること、意図的な仕様変更はないことを説明しました。現時点で、ボールを意図的に飛ばなくしたと断定できる根拠は確認できません。
ただし、選手が感じる打球の違いや投高打低の傾向について、検証する余地がなくなったわけではありません。今後、ボールの検査結果や打球データが公表されれば、さらに具体的な分析が可能になります。
本塁打数の増減だけでボールの変更を決めつけず、反発係数の規格、品質検査、シーズン全体の成績、現場の証言を組み合わせて考えること。それが、飛ばないボール問題の真相に近づくための最も確かな方法です。 (出典: 飛ば ない ボール(Yahoo!ニュース))